1時間半の家事援助や3時間の家事援助+身体介護というのもあれば、
家事援助と身体介護と移動支援を組み合わせて長時間の介助を担うこともある。
知的当事者といっても一人ひとりの状況は違うので、今回は彼らにとってという話ではなくそれを担う私の側の話です。
毎週朝1時間半の家事援助に入るお宅では、
玄関を入って挨拶を済ませると、いきなり洗濯機を回し、朝ごはんの用意。
そしてお弁当作りを済ませ、一息つきつつ介助ノートに目を通し、服薬の確認、歯磨きの見守りそして、出かける用意をして一緒に出る。
介護保険のヘルパーさんと同様に、やるべき事が決まっていてその時間に効率よく動きまわり事を担う。
「おかずは何にしますか?」とじっくり相談して決める時間がないのはなんとも申し訳ないが、逆にあれこれ聞かれて毎食メニューをいう必要もない当事者はそれのほうが結構楽なのかもしれないと勝手に解釈する。
(私は、その時ある食材であれこれ作るが、毎週やってくる他のヘルパーにはいつも同じメニューと決めていたりする)
これと同様のことを前の晩の泊まり介助から入り、朝の介助を済ませて日中活動の場へ送るという人がいる。時間にすると18時から入って翌日の10時までだと16時間。
夕方から寝るまでにやることはそれなりにあるが、
本人が一旦寝入るととりあえず何もない。
何もないけど何かあったら、本人は外へ連絡をとることもできず、様々な事に対処できないので、誰かがついていなければならない。(又は、何かあった時の対処ができる状況を作らなければならない)
私の場合は、
本人が寝た後、明日の用意を済ませる。(洗濯の段取りや料理の下ごしらえとか)
最近、疲れている時には9時頃に寝てしまうこともある。
何もしない。何も指示されない時間が多い。
(起きている時も、指示は少ない人ですが)
たっぷりある介助時間。
先の彼の所に入ると、「もう少し時間があればこった料理も作れるのに…」と思うことがある。
でも、実際時間があってもそれほどこった料理を作るわけでもない。
淡々とやることをこなすのだけど、あまりに時間があるのでまったりし過ぎて結局慌ててしまうこともある。
重度身体当事者の場合には、「起きるよ〜」と声かけられて起きる。
しかし、彼の場合は「時間だよ〜。起きて〜」とこちらから声をかける。
手を抜こうと思えばいくらでも抜ける。
逆に、家事って際限ないから目につくことを全部やっていてはきりがない。
又、目につかない人はまったく目につかずやれていないことが目につく。
重度身体当事者のロングな介助は、
ひたすら本人の要望を待っていれば済むという面があるのだが、
重度知的当事者のロングな介助は、
介助者自身が気づかなければ当事者の暮らしは回っていかなくなる。
「目を話すことができない」ということを除けば、
ショートの介助でやるべきことをやるほうがお互い楽だったりするようにも思う。
でも、タイトな時間をどのように担うかはなかなか決められない。
重度訪問介護の対象拡大が来年の4月から始まる。
ロングな介助を前提とした重度知的当事者。
それを当事者がいかに使いこなすか?
ヘルパーとしてそれをどのように担うか?
一人暮らしをしている重度知的当事者の数はまだまだ数えるほどしかない。
よって、その担い手の数も多くはない。
限られたケースの中で、
ロングな介助をどのように担っていくか?
制度面での課題以外に、個々の担い手に委ねられる様々な課題があると思う。
でも、それを検証する場があまりにも少ない。